胸が痛む、悲しくて…。
知らず涙がこぼれそうになる、あの人を思って…。
腹の内から怒りのような気持ち悪さが沸き上がってくる、気付けなかった自分に…。  
泣きたい訳じゃない。涙は零したくない。  
一度零れてしまったら、止めらそうにない。  
『歩き出さなければ…』そう思った。  
此処まで来てしまった。最早、先に進む以外に道はないだろう。  
涙は、流せない……。



Desire kept secret in mind



あの言葉を聞いたのは、偶然だった。その日は、何故か胸騒ぎがして落ち着かなかった。
何かに誘われるように、木陰となっているテラスへと足を延ばしたその時。不意に聞こえた。

「――が、知らなくていい…。」

……リシャール様、か?このような夜更けにどうしたというのだ?……

「皆がこの思いを、判らなくていい…。私の想い描く未来が、成されれば…それでいいのだ。気付く必要は、ない。」

誰に聞かせるかでもなく。ただぽつぽつと、自身の身の内から自然に湧き出るものを零すように。

「涙を流して、欲しいのではない。自分の内の何かが訴えてくる…。
後悔が無いとは言えはしないが、それでも私は前に進む。それこそが、私の一番の望みと成るのだから……。」

近頃、リシャール様の様子がおかしいのには気付いていた。だが、ふと見せる表情が以前のままだった。
だから、自分の気のせいだと思った。 何故か聞いてはいけない事だったような気がして、そのまま気付かれぬようその場を
立ち去った。そして、リシャ−ル様の言葉の真意が理解出来たのは、暫く経ってから。 ……幾ら振り返っても
、もう戻れはしないと、判っていた時だった……。


to be continued……?



柊氷片様より

今回はアー主ではなくアーネストとリシャールのお話を
ゲット致しました!というかUPが非常に遅くなりましてすみません!
ゲーム本編ではあまり語られなかった彼らの想いを補足するかのような
切なさ漂う内容にシリアススキーの心が揺さぶられますv
続き物という事は後半はリシャール編ですかね。非常に楽しみです!
いつも有難うございます、柊様vラビュ!(ヤメロ)