深く、堕ちる

時折、どんな無茶をしてでも訊きたいと思ってしまう。

････････････････････お前は一体――――誰のものだ、と。

君想うがゆえ

パラパラと書類を捲る細い指先が。

真剣に書面を辿っていく異彩の双眸が。

憂い気に吐かれる吐息が、紅を引いた口唇が。

欲目を引いて見ても、誰よりも綺麗で妖艶だと思う。
それを口に出して言えば、瞬時に染まる白い肌。

･･･････とても愛おしい。
思わず口元に笑みが浮かぶ。

カリカリカリ

慣れた手つきでペンを運ぶ音。インペリアルナイトとしてかなりの量の書類を扱う自分よりも数倍以上
早くそれを片付けてしまう青年は、世の人間が云う通り天才なのであろう。もちろんそれに見合うだけの
努力をしている事は承知の上だが。

「････････カーマイン」
「･････ん、何？」
「そろそろ終わるか？」
「ん、もう少し」

特使として、実を言うと国王以上の書類処理を任されている彼。
政に関する事から目安箱に投じられた国民の要望、商業に関する事、医療に関する事、またフェザリアン
自治区関連、戦争孤児の救済、魔物討伐など本当にありとあらゆる仕事を承っている。
彼一人いないだけでどれほどローランディアという大国が傾くか計り知れない。

それが分かっていながらも、彼をその重責から解放してやりたいと･････いや、それは奇麗事に過ぎないか。
ただ、自分の手に･････自分の元に彼を繋ぎとめておきたいだけなのだろう。何せ、彼の事を自分と同じく想って
いる者は吐いて捨てるほどいる。ならば独占したいと思うのは自然な事といえるだろう。
ジッと特使専用の執務机で黙々と作業をこなす青年を見遣る。真摯な眼差し。自分にそれを向けてはくれまいか。
そんな思いでいると彼は大きく息を吐き、書類の束をトントンと整え、クルリとこちらを向く。

「終わったよ、アーネスト」
「そうか」

『この書類が片付けば休暇だから』
そう言われて待つ事一時間弱。机に山積みにされた書類は僅かな時間でキレイに片付いてしまった。
まさに神業とも言えるだろう。

「････折角来てくれたのに待たせて悪かった」
「いや、連絡も入れずに来た俺が悪い。それにそんなに待ってない」

すまなさそうに眉を寄せるカーマインに首を振って答えると安堵の笑みが零された。
端整で一見すると人形のような美貌の持ち主である彼だが、はにかんで微笑むと一転して天使のような、とても
愛らしい顔になる。そして今のところその微笑を見る事が出来るのは俺一人。知らず胸の内に何とも言えぬ優越感が
去来する。

「アーネスト、どうかしたか？」
「･･････いや」

妙に機嫌のいい俺を不思議に思ったのか訝しむ顔。しかしそれすらも可愛らしく、そっと手を伸ばす。

「おいで」

胸の前に掲げた腕へ素直に重ねられる白いてのひら。冷たくて柔らかな感触。触れているだけでとても心地良い。
その手を驚かせない程度の力で引き寄せるとすっぽりと自分の腕に収まってしまう細くしなやかな肢体。
自分より低い位置にある頭は胸の辺りへ埋まる。艶やかな黒髪が服に擦れて少しだけ乱れたので、
それを梳いてやりながら、軽い身体を抱き上げた。はっきり言って並みの女より軽い。ちゃんと食べているのだろうか。

「アーネスト･････？」

何故自分が抱き上げられたのか分からないらしく、ちょこんと首を傾げる青年に意地悪く笑って。

「････久しぶりに逢ったんだ。ちゃんと相手はしてくれるのだろう？」
「･･････････････え･････････アッ！」

言いながら耳の裏をペロっと舐める。途端、腕の中の小さな身体は大きく波打った。
顔を覗けば白い肌があっという間に朱色へと変化しており、咽喉の奥でクツクツと笑う。俺のそんな反応を見て
青年―カーマインの顔はますます赤みを増してゆく。本当に可愛らしい。

「言っておくがこれ以上我慢なんぞ出来んからな？」
「･･･････！」

ゆっくり頬を撫でる。その合間も身体は小さく反応しており、本当に抑えが効かなくなってしまいそうだ。
そして中々返事が返ってこないのに焦れ、額へと口唇を落とす。そのまま頬へと下り、再び耳へと移動させる。
パクと軽く食み、吐息を零すだけで何かに耐えるように縋り付いてくる細い腕。落ちるのもあと僅かか。ならば青年の
習性を利用させて貰うだけ。

「････カーマイン･････頼むから･･････」
「･･･････････ッ」

心からの『お願い』には弱いカーマイン。よって耳に直接吹き込んだ俺の『お願い』に逆らう事はなかった。

「･････････ん、んぅ」

寝台に横たわらせたカーマインの身体に覆い被さるようにして、紅く妖艶な口唇を塞ぐ。
柔らかなそこを舐め上げ、きゅうと軽めに吸うと、うっすらと口が開き、すかさず舌を口内に滑り込ませた。
歯列を割って、奥に潜んだカーマインのそれを絡めとり、耳につく水音を立てながらも蹂躙していくと、こういった
行為に不慣れなカーマインが身を捩るが、力尽くで押し留め再び口腔を深く犯す。

「ふぅっ、ん、んぅ・・・・・ゃぁっ」

息苦しいのか小さく呻きながら俺を引き剥がそうとしている細い身体を宥めるように撫でつつ、これ以上は酷かと
口を解放してやる。互いに銀糸を引く口唇をそっと舐め、少し怯えた気配を見せる青年にチュっと音を立ててこめかみ
に口付け、サラサラと触り心地の良い黒髪を弄り、頬を擦るとようやく安心したように目を閉じてくれた。
そのまま手を滑らせて服の上から薄い胸を辿り、程よく絞まった腹部を撫でるとピクリと反応する敏感な肢体。
ゆっくりと服の繋ぎ目から手を差し入れ、直に触れる。何度触れてもこの滑らかな肌は飽きる事がない。脇腹をなぞり、
胸へと手を引き上げ、ツンとした引っ掛かりを指先に捕らえた瞬間。

「あっ･･････ん･･････っぅ」

普段の青年からは到底想像出来ない甘い声が漏らされ、こちらの熱を煽られる。
するりと残りの衣服を全てを取り去って、今度は先程捉えた胸の飾りに口唇を寄せた。

「･････アッ、だ････め･････アアッ！」

ぷっくりと紅く、硬さを持ち出した胸の頂を執拗に責める。舌先で押しつぶしたり、歯を立てる度にカーマインの
形の良い口唇から愉悦の悲鳴が漏らされた。その声があまりにも艶やかで眩暈がしてしまいそうだ。
だが、決して動きは止めない。空いている手で緩く身体のラインを伝い、下肢へと下らせると、しっとりと
濡れたカーマイン自身へ辿り着く。優しく握りこみ、トロトロと蜜を零し始めている先端を軽く人差し指で突くと
ビクンと大きく身体が跳ねた。

「あ、いやっ！････ん、あんっ」

嫌、と口で言いつつも身体の方は随分と素直に反応を示すものだから、思わず口角が上がってしまう。
先端に押し付けたままの人差し指で蜜ごとクチュクチュと弄でてやるともどかしさにカーマインが身を捩って俺に
擦り寄ってくる。それはまるで行為を強請っているようでこちらの気分を良くさせた。

「･････カーマイン」
「ふ、ぁ････････アーネ、ストぉ･･･････」

今まで散々弄っていた胸から顔を離し、名前を呼ぶと青年も甘えた声で俺の名を呼ぶ。ジッと俺を見る金銀妖瞳は
既に露掛かっていたのでちろと舌先で目の端に浮かぶ涙を拭ってやる。すると縋るような視線を向けられ、内心で
意地悪く口元を歪めた。

「･･････ん、どうした？」

分かっていながらもあくまで気がつかない振りでピンと張った太腿を撫でながら問う。その間放り出された彼の自身が
触れて欲しそうに自己主張しているのを視界に捉えたが、やはり気付かない振り。

「も･････無理ぃ････････」
「何がだ？」
「ん、苦し････よ。も、････おねが･･･助けて」
「楽になりたいか？」
「んん、お願いぃ･･････」

小さく震えながらこちらに抱きつくようにして解放を強請るカーマインに優しく微笑んで了解の意を示すと、再び彼自身を
指に絡め、キュッと擦ってやる。フルリと慄く肢体を可愛いと感じながら、手にしたものを己の口腔に導く。
てっきり指でイかされるものだと思っていたらしいカーマインが予想外の事に大きく首を振るが無視。先端を舌で尖らせ
裏の筋を舐め上げる。青年本人は口唇を噛んで堪えているようだがそれでも嬌声を抑え切れていない。
こうしている間にも口の中に招かれたものは徐々に硬さを増してゆく。もうそろそろかと強めに吸い上げてやると素直に
溜まった熱を吐き出した。

「････は、うんん････あ、ふぅっ」
「･････････く、随分と我慢してたんだな」
「･･････ん、あう････････」

思った以上の量を口の中に注ぎ込まれたので数度に分けてゆっくりと飲み干す。
本来コレは青臭く、苦い物である筈なのにカーマインのは本当に蜜のように甘い。口から零れた分を舐め取って小刻みに
身体を上下させ息を吐くカーマインへ口付ける。

「ん、････アーネ、んっ･････ん」
「カーマイン、そのまま力、抜いてろ」

口唇を触れさせたまま言って、カーマインの脚を大きく開かせる。腿から双丘を辿って一層奥まった秘部へと指を触れさせ、
蕾を確認すると傷を付けぬよう殊更丁寧に内部へと指先を沈ませた。途端かなりの力で締め付けられるが前を弄でて意識
を削がせるとくぷくぷと奥へ飲み込まれる指。じっくり時間を掛けて、内壁を擦り、秘部を貫く指の数を増やし、馴らしていく。
暫くして楽に抜き差しが出来るようになると内部で指を折り曲げつつ引き抜いた。

「う、あっ！！？」

敏感な部位への刺激にカーマインの背がしなやかに反る。その背を抱きながらゆっくりと身を起こし、カーマインの今では
ひくひくと蠢く可憐な蕾へと己の昂ぶりを押し当てた。

「ア･･･････」
「････････行くぞ？」
「ひ、あ････････ふぁぁっ」

くちゅと濡れた音がし、徒に痛みを長引かせるよりはいい、と一息に突き入れる。
が、特に痛みを与える事なく、スムーズに内へと招かれた。それに安堵し、ほうっと大きく息を吐く。カーマインを
見遣れば切なげに瞳を揺らせていた。

「･････だい、じょうぶか？」

念の為訊けばこくりと頷かれ、手を伸ばされる。それをしっかりと握って指先をカリと噛む。
小さく息を呑む気配がしたが構わず、握ったその手を己の胸へと押し当て、カーマインの内へと押し入った。
初めは焦らすように浅い箇所を行き来し、弱点を避けるように突き入れていたが、恐らく無意識にだろうが
カーマインの腰が揺らめき始めたのを機に、これまで重ねた行為で知った悦楽の場所を難なく探り当て執拗な
までに責め立てる。

「あ、ああっ･････んや、あ、あ、あっ」
「･････････嫌、じゃない、だろう････？」
「く、･････ぅんん････････はんっ」
「･･･････もっと声を聴かせてくれ･･････」

柔らかに告げ、ほっそりとした両脚を抱え上げて自分の肩へと掛けると己自身をキツく締め上げてくる搾まりを
押し開くようにし、カーマインの最奥を加減なく犯す。

「ひゃ･･････ぅん、んんっ」
「･･････可愛いな、お前は」
「あっ、やめ･･･････っっ」
「ん？いいのか、やめて？」
「だ、だめ･･････あ･････」

目に見えてふるふると身を小刻みに震わすカーマインに限界が近いのだと知る。
背を撫でてあやしてやりながらも、先程よりも激しく腰を打ち付ける。グッと細腰を掴んで、一際大きく突き上げた
瞬間、カーマインの背は優美に撓り、熱い白濁を放っていた。その際にぎゅうと強く締め付けられ俺も熱い内壁へと
精を叩きつけた。

「ふ･････ん･････あぅ･････」
「･･･････平気、か？」

気だるげに肩を揺らす漆黒を優しく梳く。息をするのも辛そうなので少し抱え上げて胸に抱くとぽんぽんと節くれを
つけて肩を叩く。息が整うまで何度もそれを繰り返している内に白く細い腕が、俺の背に絡んできた。

「・・・・・アー、ネスト」
「すまんな、無理させて」
「ん･･･････い･･･よ、もう。それより･･････」

切れ切れに訴えるカーマインの異彩の双眸がしっかりと閉じられる。一瞬何をしているのかと思ったが直ぐに
見当がつく。さっきは呼吸が苦しそうだったので遠慮したが･････。

「･･･････ん」

行為の名残で元よりずっと紅く色づいた口唇をなぞり、そっと触れるだけの口付けを落とす。

「･･･････なあ、カーマイン」
「･･･････な、に･･････？」

口を触れさせたままの体制で問うとほんの少しだけ不機嫌そうに返される声。それにうっすらと笑って。

「･･･････お前は･････俺のもの、だろう･････？」

彼を待っている間、ずっと訊きたかった事を告げると、言葉で返す代わりに耳まで真っ赤に染めた青年の
柔らかな口唇が俺のそれへと降ってきた。

fin

いえ、私アー主大好きですよ？何だか方向性間違えましたが。
何で裏だとアニーさん鬼畜気味なのかしら。普段溜めてる分が一気に
出てしまうんですかね？（知るか）
え、シチュエーション？オチ？？訊かないで下さい（責任放棄ダヨ）

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