深く、堕ちる

猫と所有者

「おい、これはどういう事だ？」

ぽつりとベッドの縁に腰掛けた青年はぼやく。
自分の両腕を目前の男に見せ付けるように突き出して。
色違いの眦には訝しむ色が強く現れていた。

「どうって、騎士として必要な知識を教えてあげるって言ったでしょ？」
「ああ、そう聞いていたが･･･手首を縄で縛る事と何の関係が？」

本当に分からない、そんな表情でカーマインは首を傾げる。
対して正面に足を組んで腰掛けているオスカーは何でもない風に笑いながら少し身を乗り出す。
しっかりと固定されている細い手首に目を留めてから、金と銀の瞳を見据えた。

「いつ何時誘拐、監禁されるか分からないでしょ。ほら君の知り合いの･･･カレンさん、だっけ。
彼女も何度も誘拐されたらしいじゃない。そういう時、縄抜けを覚えてると得すると思わない？」
「別にそれは騎士に関係ない気が･････」
「まあ、それはそれ、これはこれ、あれはあれ」
「････とにかく解いてくれないか？これ結構痛いんだけど」

縄が擦れる、とカーマインは更に手首を突き出す。紫の瞳は愉悦に歪んだ。

「だから縄抜け教えてあげるって言ってるでしょ」
「だったら、早く。こんなところアーネストに見られたら何をされるか･･･」
「大丈夫、大丈夫。アーネスト、僕の部屋には滅多に寄り付かないし」

無責任な台詞を吐きながらオスカーは、カーマインの空に浮いた手腕を取ると、空いた片手でその奥の
剥き出しになった滑らかな肩へと手を添えた。グッと後方の白いシーツに向けて力を込める。

「･･････オスカー？」

柳眉を顰める細面が黒髪を揺らして傾いでいく。
紫紺の制服が間近に迫ってきて、不審がっているカーマインの顔に濃い影を落とす。
その間もオスカーの口元から笑顔が消える事はない。ただただ、愉快そうに弧を描いていて。
嫌な、予感が押し寄せる。カーマインは身の危険を感じて唯一自由になる足でオスカーを退けようとしたが、
逆にオスカーの足で以って押さえつけられた。

「ちょ、どういうつもり･･･」
「実戦演習だよ。こういうのは人に手取り足取り教わるより自分で掴み取った方がいいしね」
「さっきと言ってる事違････ッ！」

完全にベッドへと押し倒されて漆黒の髪をシーツに散らばす青年は圧し掛かってくる体重を縄で縛られた手で
押し返そうと必死になるが、動かす度に縄が肌を擦り、締め付けてくるために上手くいかない。
アーネスト相手ならともかくオスカーになら本気を出せば跳ね除けるくらいの事は出来そうであったが、
意外と手首を拘束されるだけでも辛いものだとカーマインは思った。それでも懸命に身を捩る。

「オスカー、ふざけるなっ」
「ふざけてなんてなーいよー♪」
「語尾が♪ーー！！」

力で敵わないので怒声を張り上げるが、それでどうにかなる気配はない。
キッと目に力を込めてオスカーを睨みつけた。殺意までは篭もっていないものの、それなりに鋭く強い視線を
受けてオスカーの笑みが一瞬消える。

「君は本当に無防備だよね。いっそ腹立たしいくらい」
「･･･････････ッ」
「縄抜けなんかよりね、そっちを教えてあげようと思ってたんだよ。
君は一度気を許した相手に対して警戒がなさすぎる」
「それは･･･もう分かった、から縄を解いてくれ」
「だーめ」

柔らかな口調が目下の青年の懇願をあっけなく打ち破る。
普段は温厚なラベンダーの瞳が爛々と輝いているのに気づくと、カーマインは背筋を冷や汗が伝うのを感じた。
ベッドのシーツを掻き乱して可能な限り暴れる。けれども容易く押さえつけられてしまう。
唇を噛む。オスカーの言う通り、自分は何て無防備なのだろうと戒めるように。

「････オスカー、本当にもう･･･」
「カーマイン。僕は別に君を戒めたいわけじゃない。僕はただ･･･」
「オス、カ････ぁ！」
「！」

ドスッ

不意に沸いた衝撃音にその場が水を打ったように静まり返る。
金と銀の瞳が音の発生源である壁の方へと視線を送り、彼を組み敷くオスカーはその反対側のドアの方へと
顔を向けた。それから息を吐く。カーマインの方は、自分の目に飛び込んでくる異様な光景に息を飲んだ。
白い壁に見慣れた長剣が突き刺さり、大きな亀裂を走らせている。それからオスカーに倣って部屋の入り口へと
意識をやった。その際、自分の上にいるオスカーの頬を紅い線が走っているのを見つけてしまった。ぽたりと
小さな玉が輪郭を伝う。恐らく、壁に突き刺さった剣が掠ったのだろう。では誰が剣を投げたのか。
考えなくても分かる。扉の前でもう一本の剣を鞘から抜いている男の仕業だ。

「･･････アーネスト」

カーマインの呟きには応えず、アーネストは剣を携えたまま、ベッドの方へと近寄ってくる。
相対距離、僅かに1メートルといったところで歩を止めた。常以上に冷たく光る紅い瞳で二人を見下ろす。
それから何を言うでもなく、剣を構えた。

「アーネスト、僕の部屋に来るなんて珍しいね」
「･･･近くの廊下を通りがかった時に女中にお前の部屋へ俺のものが入って行ったと聞いたんでな」
「俺のもの？･･････誰が」
「貴様が今、組み敷いている者だ」

コツリと靴音を響かせ、アーネストは更に一歩近づいた。とうに緋色の眼差しはオスカーからカーマインへと
移行している。困ったように、怯えたように眉の寄った顔を見てクツクツと喉の奥で笑う。
それから服に乱れがないかを確認して漸くオスカーへと鋭く細められた紅い瞳が帰って来る。

「････俺のものに随分な事をしてくれたようだな、オスカー」

ついと手にしている剣先でオスカーの頬を彩る朱を弾き上げ、まるで支配者のような声音で一言一言を吐き出す。
口元に滲んでいる肉食獣の如き不敵な笑みと相まって酷く恐ろしい。悪魔というものが実存していればきっと
こんな顔をしているのだろうと思わせるほど。重く嫌な空気が流れる中、それでもオスカーの表情は筋一つすら動かない。
カーマインの顔はどんどんと恐怖に染まっていくというのに。

「随分な事っていうけど、僕まだ何もしてないんだけど？」
「どの口がそんな下らぬ事を言うんだ？」
「どの口だって？そんな事も分からないくらい耄碌したの、アーネスト？」
「････御託はいい。さっさとそこを退け、さもなくば」

強く足を踏み出したかと思えば、無風の室内で紅蓮の制服の裾を大きく閃かせ、アーネストはオスカーの首へと
銀の刃を突きつけた。肌に触れるか触れないか、まさに首の皮一枚ほどの距離に。少しでも動いていれば確実に
肉に食い込んでいただろう。それほど躊躇いのない太刀筋だった。

「･････物騒だね、アーネスト」
「俺のものに勝手に触れるな。それ以上の事をしようものなら、首を撥ねる」
「君なら嘘なんてつかないから･･･本当に僕を殺すんだろうね。それは、困る。まだ本懐も遂げてないっていうのに」

へらへらと笑いながらオスカーは身体を引かせた。アーネストはその姿を追いながらもベッドで全く動けずにいた
カーマインを抱き起こす。その際、オスカーの身体で隠れて見えていなかった手首の有様を見て、僅かに細い瞳を見開いた。
ギロと背後で降参と手を上げている優男を睨みつける。まるで体内を巡る血ですら凍り付いてしまいそうなほどの冷酷で
殺意の込められたそれは、今腕に抱いている存在がそれだけ大切なのだろうと思わせるのには十分だった。

「･････今回は未遂という事で大目に見てやるが、次はないと思え」
「あれ、やけに寛大だね。流石に彼の前で、惨事は見せたくない？」
「･････貴様を殺すなら首を撥ねるよりその煩い口を貫いた方が良さそうだな」

ズッと壁にめり込んだ剣を強引に抜き去ると、アーネストはカーマインを抱いたままオスカーの執務室を後にする。
抱えられたカーマインは居心地悪そうにアーネストとオスカーを交互に見遣り、やがて慣れ親しんだ男の肩へと
眠るように顔を埋めた。黒髪が白い制服に掛かるとどうにも艶っぽく見える。パタンと閉まったドアに部屋主の男は
チッと隠す事もなく、忌々しげに舌打ちしていた。

◆◇◇◆

オスカーの執務室からカーマインを奪い返してくると、アーネストはそのまま自身の仮眠室へと腕の中の
重みを連れて歩き、放り投げるように痩身をベッドへと乱暴に落とす。スプリングに受け止められた身体は、
恨みがましそうに今まで自分を抱き上げていた男を睨みつけたが、難なく流された。それどころか呆れたように
冷たい眼差しが降って寄越される。

「抜けているとは思っていたがまさかここまでとはな････」

大きく溜息を吐いて、不健康な顔色をした長身の男はベッドに投げ出され、身を僅かに捩っているカーマインを
見つめる。初めは顔を。それからじっと全身を見渡す。女よりも秀でた美貌、滑らかな肌、しなやかですらりとした肢体、
欲望を煽るかのような体勢――そして白い手首を縄で縛り付けるというオプションがついている。
こんな姿を一瞬でも他の男の目に晒していたかと思うと眉間に深く皺が寄った。アーネストはゆっくりと自らの腰を
折り曲げてカーマインに身を寄せると、呆けている細い顎を掴み、目と鼻の先で低い吐息を零した。

「どうやら、お前には俺のものだという自覚が足りないようだ」
「･･･････アー、ネスト？」
「俺のものでありながら、一人で他の男の部屋に入るとは･･･挙句、これは何だ」
「･････痛っ」

グイとシーツの上に投げ出されていた手首を握られる。縄が大きく肌を傷つけ、カーマインの面には苦痛が浮かぶ。
離してもらおうと足掻けば足掻くほど、しっかりと固定されていた縄が締め上げてきた。仕方なくカーマインは頭を振って
意思表示をする。ぱさぱさと黒髪がシーツに擦れて乾いた音を立てた。

「アーネスト、俺･････」
「別に謝る必要はない。これから身をもって教え込んでやる」
「････、アーネ･････んっ････」

何を、と問う前にカーマインの唇は上から降ってきた冷たいそれによって阻まれる。いつもながら噛み付くような口付けは
深くカーマインを侵食していく。顎を無理やり上向かせられているので苦しげに息継ぎする様を薄目を開けて眺めつつ、
アーネストは手にした細腕に浮かび上がっている蚯蚓腫れのような縄目の痕をするすると撫でる。ぴくんと痛みを感じて
ベッドに寝転んでいる身体が跳ねた。その様を見咎めて口角を上げた男はそっと顔を離す。ついで唾液で濡れた自身の
唇を長い舌で舐め、既に潤み始めた異彩の双眸を持つ青年へと覆い被さる。

「オスカーにやられたというのは気に食わんが、躾けるにはその格好は中々のものだな」
「･･････････････？」
「下らんと思っていたが･･･案外そそる」

縄の間から覗いている朱くなった肌をぴちゃぴちゃと音を立てて舐め上げると、痛いとカーマインが呻く。
そんな声は無視して片手でベッドへ押し付けると、服の上から柔らかく組み敷いた身体のラインを辿る。少しでも抵抗する
気配が見受けられれば、細い手首を掴む指先に力を込めて。

「･････ぃ････あ、････アーネスト･･･やめっ････」
「･････何故？」

問いながらも、シャツの合わせ目から指を忍ばせ、直に滑らかな肌へと触れる。手首が拘束されているので脱がす事は
出来ぬ薄布を可能な限りたくし上げれば、白磁が顔を出す。全部脱がすよりも却って扇情的だと思いながらアーネストは
目に入った胸の淡色へと唇を落とす。ちゅと吸い上げ舌先で転がしてやれば、慣れた身体はぴくぴくと波打つ。
空いた手を反対側の胸の飾りへと宛がい、些か荒く捏ねる。それだけでカーマインは既に蕩けた表情を垣間見せていた。
誘うように厭らしく、それなのに何処か純粋な少女のようなそれ。顔にこそ出さないがアーネストの欲も熱を擡げ始める。
もっと乱れる様が見たいと、空きのない手の代わりに、脚でカーマインの下肢を撫で擦った。

「んぁ！･･･は･････ぁ･････ぅん」
「さっきまで嫌がってたとは思えん有様だな、カーマイン。それに････」
「･････？っ、うぁ、ん、ん･････」

上下に動かしていた脚で僅かに布地を押し上げている膨らみの真上へ擦り付けるように蹂躙すれば、一際高く青年は
啼いた。無意識に自分の太腿で男の脚を逃がさぬようにと押さえつける。クッ、と笑われて初めて自分のした事に気づいた
らしいカーマインはカッと頬を染め上げると、恥ずかしさに顔を背けた。本当なら両腕で覆い隠したかったが、アーネストに
捕らわれているのでせめて目を合わさぬようにと必死でひんやりした感触のシーツへ鼻先を擦り付ける。この冷たさが
頬の熱を吸い上げてくれるならいい、そう思った痩身は首を精一杯逸らした。くっきりと首の筋が服越しでも浮き上がる。

「本当に何処も彼処も厭らしいな････しかも、いつもより早いのではないか？」
「･･･え？････やぁっ･･･ん･･･」
「ああ、やはりもう濡れている」

直接愛撫をしていないというのにと笑いながら手首を押さえていた方の手でレザーパンツの前を寛げ、下着の下へ忍ばせた
指先がぬめりを捉えた事を揶揄する。ますますカーマインの頬の熱が高まり目元に浮いた涙が汗と混じって零れ落ちた。
いい光景だと、緋色の瞳を細め、アーネストはカーマインの蜜をしとどに垂れ流す中心を握り込み、やわやわと扱く。
弱点を避けた優しすぎるとも思える触れ方に焦れて、組み敷かれた細腰が揺らめく。アーネストの硬くほっそりとした指先に
濡れた欲が擦り付けられ、その刺激にカーマインは大きく背を撓らせて喘いだ。自然と溢れ出す艶を帯びた吐息を殺そうと
半分だけ自由になった腕で抑えようとするが、その前にアーネストの強い腕に引き寄せられて失敗に終わる。

「･･････アーネ････ト、な、に････」
「初めに躾だと言っただろう？そう簡単には達かせてなどやらん」
「･････なっ」

絶句するカーマインの下衣を手荒く剥ぐと、四つん這いへと体勢を変えさせた。猫のような姿にさせられてカーマインは
恥ずかしさに首を振る。もぞもぞと手首を動かして縄を解こうとしながら。しかし、縄は一向に解けない。むしろまた絞まった気が
してカーマインは眉根を寄せる。そんな様子を愉しげに見下ろしていた男は、薄く色づく耳へと唇を寄せた。

「よせ、それは足掻けば足掻くほどキツくなる。それとも痛い方が好みなのか？」
「ち、が････んんっ」
「違う？こんなに蜜を溢れさせておいて」

とろとろと止め処なく溢れる透明な雫を指に絡ませながら、アーネストはカーマインを言葉で責める。
そして何か一言囁くだけで面白いようにカーマインは濡れていった。滴る液がシーツを汚す。もうとっくに達してしまったのでは
ないだろうかと疑いたくなるほどの量。そんな悦楽に溺れきっているカーマインが愛おしくてアーネストは背後から抱き締めると
双丘を割り開き露になった蕾を大きく舐め上げる。突然の刺激に驚いて一瞬そこが綻ぶのを見逃さず、アーネストは
ひくひくと蠢く蕾へ尖らした舌先を突き入れた。熱い襞とぬめりが混ざり合って卑猥な音を奏でる。カーマインは快感と羞恥に
堪えきれず、腕を曲げて顔をベッドへと突っ伏した。それによって余計に恥ずかしい体勢になることにも気付かず。

「ん、くぅ･････あ、あ、･･･ふぁぁ･････」
「･････随分、気持ち悦さそうだな･･･こうされるのが好きなのか･･･？」
「ちが、う････や、やぁ････も、嫌ぁっ」
「違う？嫌？････貴様、何時の間に俺に平然と嘘を吐くようになった」
「ひっ････！」

クン、と今にも達してしまいそうに震えているカーマイン自身の根元を強く握り締め、押し寄せる快楽の波を無理に留めると
アーネストは痛みと達せない苦痛に泣き濡れる彼の腰を引き寄せ、自らの怒張を唾液が伝う蕾へと宛がい、まだ心の準備も
出来てない細身を容赦なく貫いた。当然押し寄せる圧迫感にカーマインは息を詰め、やがて耐え切れぬと言わんばかりに
悲鳴を上げた。ぐぶぐぶと自身の内に別の熱が入ってくる感覚に何度も背を弓形に撓らせ、押さえ込まれた欲望の切なさに
何度もアーネストに許しを乞う。けれども、アーネストは全くカーマインの言葉など聞こえていないかのように、腰を進める。
巧みに強く深く突き上げられて、快楽と苦痛の狭間で拷問に近い責めを必死で受けとめようとするものの、慣れてない事も
手伝って直ぐに沈みそうになった。その度に強い刺激でアーネストに起こされる。

「アー、ネ･･･ス････あ、もう････ゆる、して････」
「･･･仕様の、ない奴･･･だな･･･っ･･･」

酷く掠れた涙声で哀れなまでに懇願してくる想い人に流石に可哀想になったのか、油断すれば持って行かれそうに
なるのをカーマインに気取られぬよう堪えているアーネストはフッと微笑み、吐息を零すとずっとカーマインを戒めていた指を
外し、仕方なさを装いながらもその願いを叶えた―――

◆◇◇◆

ぐったりとシーツの海に果てた美しい肢体の身の回りを整えてやりながら、アーネストはカーマインの手首を未だ縛ったままの
縄を解く。大分キツくなっていたので時間は掛かったが、オスカーと同じく縄抜けを習得しているためそんなに苦労はせず、
解いた縄をぽいと捨てると擦り切れて血の滲んでいる腕を取り、ちろりと舐める。僅かな刺激にカーマインは呻いたが、
疲労が濃く起きる気配はない。まあ、それも当然かと思いつつ、アーネストは手を傷口へと翳しスペルを唱える。
あまり回復魔法は得意ではなかったが、この程度なら治せるだろうと自らの体内に微かに残っていたグローシュを消費した。
淡い光が傷を包み込み、ゆっくりと癒していく。やがて傷が全て癒えるとアーネストは一息吐いてから改めて眠るカーマインを
見遣る。汗で張り付き、乱れた黒髪を優しく梳いた。

「････････」

もしも、カーマインが寝ている時だけでなく起きている時にもこうして優しく出来たなら、カーマインはもっと自分を想って
くれたのだろうかと、らしくない事を考えつつベッドに潜り込み、華奢な肢体を自分の腕の中へと閉じ込めた。
近くにあるこめかみへと口付け、滑らかでまだ涙の跡が残っている頬へ手を添えると聞こえていないのが判っていて
そっと耳元へと囁いた。

「お前は･･･何時如何なる時も俺だけのものだ･････」

分かったなと、囁くと眠りの縁にあるカーマインはまるで応えを返すように向き合っているアーネストの背へと腕を絡めた。
その反応に緋色の目は軽く瞠られたもののやがて満足そうに細められ、欠けていく月のように伏せられていった。
今度はもう少し、カーマインに優しく出来ればいいと自嘲気味に口角を持ち上げながら―――

fin

あれ、これ無駄にエロくねぇーーーー？？
あ、すみませんつい。えーこちらは81234打代理リクという事で
「オスカーに手首を縛られたカーマインを見てムラムラして襲う黒アニー」で
ございましたっけ？あれ、ムラムラって言うか若干調教入ってませんか綺月さん？
すみません（二回目）久しぶりの黒さんの裏でしたので何だかテンションと言うか方向性を間違いました（爆）

カーマインは･･･何だかんだで好き勝手されてるものの黒アニーさんの事、ちゃんと好きなんですよ。
そんな事一言も文中で語られてない気もしますが････。ちなみに何故オスカーの部屋に居たかというのは
アーネストの仕事が終わるまでの時間つぶしのためでした。今後多分カーマインはオスカーの部屋には
入らぬ事でしょう。せっかく代打でリクして頂いたのに拙い出来で申し訳ありませんでした夕紀様ーーーー！（土下座）

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