夢を見るように、幸せな時。

貴方の腕の中で、蕩けるように。

もう恐れる事は何一つないような気が、した。




安堵の夢






夕暮れ時を過ぎて、窓の隙間から西日が差し出した頃。ひやりとした風が室内に流れ込んできた。
モスグリーンのカーテンが揺れているのが視界の端に映る。伸びた影が一瞬だけ寝転がる身体に掛かり、また引いていく。
少し肌寒い、そんな事をぼんやりと考えていると口元に布の感触。

「ギャリ・・・・」
「外せ」

これ、と目線で示されたのはゼオンシルトの唇の上を彷徨っているギャリックの手を覆うもの。白い手袋。
わざわざ口に突きつけられているのだから、口で外せという事なんだろうか。首を傾ぎつつ、ゼオンシルトはかぷりと手袋に噛みつき、
引っ張る。するするとゆっくり外されていく手袋の下からは、強い戦士の証明とも思えるような節くれの付いた指先が現れる。
一目見れば、どれだけ鍛錬を重ねているかがよく分かった。

「・・・・・・何だよ」
「手、まめだらけだなと思って・・・・」

じっと見つめられている事に気づいた紅眼は怪訝そうに瞬き、問えば押し倒されているとは思えぬほど落ち着いた声。
肝が据わっているのか、それともひたすらマイペースなのか。恐らく後者だろうがギャリックはわざわざそれを確認する気にも
なれず、自分の手を見ながら言う。

「別に珍しいもんでもねえだろ。まあ、剣を使う奴よりかはゴツい手をしてるんだろうがな。
斧は剣より力使うし、柄みてえに決まった握る場所がねえから斬り合った時の振動も直接手に響くからな・・・」
「・・・・うん。ギャリックが頑張ってきた証だね・・・・」

きゅっと自分に触れてくる指先をゼオンシルトは両手で握り締めた。
そういえば、ワースリー村にいた頃、兄代わりだったラッシュもこんな手をしていたなと懐かしみながら。
彼の手もまた、暖かくて大好きだった。もう二度と、頭を撫でてもらえる事はないのだけれど。

「・・・・どうした」
「なんでも・・・ない」
「目ぇ赤いじゃねえか」
「元からだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」

珍しくも強情を張るゼオンシルトに微かに驚き、ギャリックは目を瞠る。なんでもないわけがない。なんでもなければ、
そんな辛そうな表情などする必要がないだろう。けれども彼はそれを言葉にはしたくないらしい。幾ら相手がギャリックであろうとも。
それが少し寂しくて同時に打ち明けられないゼオンシルトが不憫でギャリックはただゼオンシルトの頭を撫でた。

「・・・・・ッ」
「言いたくねえ事くらい・・・誰にだってある。だから、無理に言わなくてもいい。
いっそ辛い事なんざ忘れさせてやる・・・って言えりゃあいいんだが・・・その辛い事もお前を形作る要因なんだよな。
だから、それは言えんが・・・。その代りに、これからはお前の辛い事も楽しい事も俺が一緒に経験してやる。
お前は一人じゃない、俺がいる。あー、つまり・・・・いつか心に余裕が出来たら、お前の傷を俺に打ち明けてみろ。
ちゃんと聞いて、受け止めてやっから」

安心しろと囁く声が耳に心地良い。うっとりと目を細めると剥き出しになった手のひらがゼオンシルトの頬から曲線を辿って
首筋、鎖骨、薄い胸と順を追い下っていく。途中触れた微かな主張にギャリックは口元を歪めた。

「・・・・まだ何もしてねえのにな」
「え?」
「ここはもう、悦くなって来てるみてえだぜ?」

ぐりと胸を彷徨っていた指の腹でその中心部を強く擦られ、ゼオンシルトの身体に電流のような痺れが走る。
びくりと組み敷かれた肢体は跳ね、頭の動きに沿って髪が中に舞う。いきなりの事で、心の準備の出来ていなかった喉からは
あえかな声が上がり、部屋の空気を一気に淫蕩のものへと変えて行く。

「あ・・・・ふぁっ・・・・」
「随分、可愛い声出すじゃねえか」

反対側の胸の粒を捏ねられ、初めての感覚にゼオンシルトは唇を噛み締めて堪えようとする。
が、血を滲ませるほどに強く噛み締める姿を見咎めたギャリックがそれを許すはずもなく、堅く引き結ばれた唇の合わせ目に
沿って舌を這わせた。生暖かい熱が行き来する度、自然と口が開いてしまう。

「馬鹿、これ以上生傷増やしてどうするよ」
「だ・・・だって・・・・」
「どんな姿見ても呆れたりしねえから、変な我慢すんな」

言葉とは裏腹に何処か呆れたような微笑。けれどそれは侮蔑ではなく、愛しむ方のそれ。強張っていたゼオンシルトの身体も
僅かに解け、ぎこちないながらに先程よりは少し素直に快楽に身を委ね始めた。



◆◇◇◆



「・・・・あっ!」

肌にまだ微かに残る傷の上を舌が這う。消毒目的とは違う熱の篭ったゆっくりとした動き。ちくりと刺すような痛みが一瞬過ぎった後
拡がる得もいわれぬ感覚。発熱時のように身体が熱く、頭に靄が掛かる。シーツを掻き乱して身動きしても強い力は容易く押さえつけ
胸や腹部に淫靡な鬱血の跡を刻む。未知の事を拒むような脚を割り開くと、もう一つの身体はそこへと滑り込み、より近しい距離で
組み敷いた青年を見下ろす。少女のような頼りない表情は、目を焼いて。

「ん・・・・・ギャリ・・・くぅ、ん」

下肢の脆い場所を柔らかく、けれど確実に握り込まれてゼオンシルトは子犬のように啼く。
純朴に純粋に生きてきたゼオンシルトは自分ですらその場所に触れた事がない。それを他人の手が、驚かせぬようにゆるゆると
上下に擦っていく。時折強弱を付けられ扱かれると、全身が陸に上げられた魚のように跳ね上がる。指の腹が、先端の尖りを擦ると
とぷっとごく薄い蜜が滲み出てきた。

「ふ・・・ぁ・・・・何?」
「あ?お前・・・・どういう育ち方してんだ」
「ど・・・いう・・・って・・・んぁ・・・俺は・・・おばあちゃ・・と暮らして・・・んっ」

どうも性的知識が著しく欠けている様子に一般的な成人男子としてギャリックは首を傾ぐと、ああと納得の行く答えが返ってきた。
祖母と二人暮しではそういう経験も知識も欠けていてもおかしくはない。本当に何も知らずに育ったのだろう。
この場には似つかわしくない無垢な瞳が一心に自分に覆い被さる男を見上げている。

「・・・・別に、怖い事でも何でもねえ。普通の事だ・・・んな怯えた表情すんな」
「ふ・・・つう・・・・?」
「ああ、男の身体は・・・なんっつーか、悦くなってくるとこうなるもんだ」

何でここまで来て性教育してやらなきゃならんのだと思いつつ、不安にさせたままは良くないと言葉足らずながらギャリックが
説明をしてやればゼオンシルトは赤ら顔で小首を傾ぎ。

「・・・じゃあ・・・ギャリックも・・・こ・・・なる、のか?」

話の最中もくちゅくちゅと粘つく音を立て、中心を弄られているのだが気になるのか息も絶え絶えに尋ねてくるゼオンシルト。
問われた内容が内容だけにギャリックも頬を染めるが逡巡した後、こくりと一度頷く。

「言ったろ、男は皆こうなるんだよっ」
「みんな・・・とは言ってな・・・ひゃんっ」
「揚げ足取ってんじゃねえ、よっ」

不意に脚を抱え上げられ、ゼオンシルトは高い声を上げる。胸に膝が着くほど折り曲げられ、体重をかけられる。
蜜で濡れた指先が内腿を辿って、男女問わず柔らかな感触を持つ双丘を緩く撫で、その先の搾まりに伸びていく。
グッと堅く締まった蕾に滑る液が塗り込まれ、ゼオンシルトはぶんぶんと首を振った。

「あ・・・や、だ・・・・そこは・・・・」
「何だよ、慣らさねえと痛ぇぞ・・・・多分」

構わず指は入り口をくるくるとなぞり、それから傷をつけないようにゆっくりと且つ慎重に内に忍び込んでいく。
初めてであるからこそ、拒まれる。それを無理にこじ開ける気にはなれず、短気な性格とは裏腹に気長に侵入を試みた。
それでもきつい秘所はギャリックの指を受け入れようとしない。

「もうちょい力抜け」
「・・・っは・・・・あ、あ・・・・ど・・・やって・・・?」
「息を吸え、焦らなくていいからよ・・・・怖くねえから」

なるべく優しく聞こえるように気をつけた低い呟きにゼオンシルトは懸命に頷く。必死になって深呼吸して弛緩するよう心がける。
頑張ってる姿がどうにも可愛くて暫し呆然と見つめていたギャリックだったが、いかんいかんと首を振って指先を意識した。
本人の努力あって先程よりは少し綻んできている。

「おし・・・イイコだ」
「・・・・・・・・・ッ」

耳元に吹き込まれ、ゼオンシルトはびくびくと小さく震える。

「ん・・・?何だ、イイコって言われるのがイイのか?」
「・・・・・・・んあっ」
「イイコだ、可愛いぞ」

頭を撫でて、の言葉に更にゼオンシルトは全身真っ赤にしながら震えた。もう、恥ずかしさと嬉しさで力む余裕もない。
両腕で顔を隠す。その隙に指が潜ってくる。襞を掻き回し、じっくりと内側を広げていく。違和感に息が弾む。
更に指が増やされ、圧迫感に喘ぐ。

「・・・あ、・・・・っく・・・・ぅあ」

苦しげな吐息が耳について、一度離していた性器にも手を伸ばし、擦る。

「んぅ・・・・あ、ゃっ・・・・ああっ」
「少しは楽になったか?」

指を引き抜いて、着ていた服を脱ぐとギャリックは一つ呼吸を置いて。ゼオンシルトは涙目でそんな彼を見つめて。
同じ格好になると何となく、ほっとした。引き締まった肢体が沈んできてベッドが鈍く軋む。今まで咀嚼していたものをなくして
ひくひくと収縮を繰り返す蕾に、熱が宛がわれ。

「イイコだから、少し我慢しろよ?」
「・・・・・・う、ん」
「・・・・・イイコだ」

最後の囁きを合図に、グッと押し入られる圧倒的な熱。熱さだけが伝わってきて痛いのか苦しいのかも分からない。
狂ったようにゼオンシルトは頭を振る。けれど、額に口付けられ、頬を擦られると一つ涙を零して落ち着きを取り戻す。
長い睫毛を震わし、瞳を伏せると拒まずに受け入れる。力を抜いた肢体はギャリックを柔らかく飲み込み、二つの身体が繋がった。
汗が伝い、荒い呼気が部屋に落ちる。ゼオンシルトはシーツをくしゃくしゃになるまで握り締め、込み上げてくる何かを堪えた。

「・・・・どーしたよ」
「うぅ・・・・ん、あ・・・あつ・・・・」
「冷たいよかいいだろ。・・・・・・好きって事なんだからよ」
「・・・・・・・・ッ!」

優しく、シーツを握り締める手のひらの上に手を重ねる。目を伏せていたゼオンシルトはそっと目を開けた。
そこにあるのは照れを隠し切れない少年の微笑。繋がれてるのも忘れてゼオンシルトはそれに微笑み返した。
瞬間、下肢を貫く熱が硬さを増す。

「ああっ・・・!」

あまりにも過ぎる快感に悲鳴を漏らす。

「・・・・あんまり・・・・笑うなよ。可愛くて・・・暴走しちまいそうだ」
「ん・・・・・か、わぃく・・・なんて・・・ない・・・・・」
「・・・・・・・可愛いよ」

動揺に見開かれた大きな瞳。ずぷずぷと奥に踏み込まれる。初めは優しく、抜き差しを繰り返し互いのリズムを探る。
切迫する息と腰の上下が次第に同じ調子を掴み、スピードが増す。強く内を擦られて、自分の爪を手に食い込ませるほど
きつく握り締めていたゼオンシルトのそれがギャリックによって彼の背に回される。

「あっ!」
「だから、言ってんだろ・・・これ以上生傷増やすな、って」

いいところを突かれて回された背にゼオンシルトは思わず強く爪を立ててしまった。白い背中に赤い線が走る。
汗の匂いに血の匂いが混じり、申し訳なく思いながらも、指先に力を込めなければ堪えようもない、悦楽の波に翻弄される
ゼオンシルト。ぽろぽろ大粒の涙を零し、嬌声を上げて腕の中の存在を強く感じる。一人じゃないと、言われたようにこうして
抱き合ってる間は孤独を忘れた。注がれる愛情が心地よく、人の熱が恋しく、夢を見ているような幸福をそこに感じる。

「あ・・・ギャリックぅ・・・・も、う・・・・」
「いいぞ、イっても・・・・」
「や・・・ぁ・・・・一緒が、い・・・・」
「生意気、言うじゃねえか」

フッと不敵に口端を歪め、しかしそのゼオンシルトの望みを叶えてやろうと今まで押さえ気味にしていた動きを更に早め、
深く奥の奥を貫き、探り出したゼオンシルトの一番弱いところを重点的に抉り高みを目指す。突かれる度に言いようのない
衝撃と快楽が押し寄せ、もっとも強く存在を感じた瞬間、無垢な脳裏は白み。

「ッ、・・・・あああっ・・・・!」
「・・・・・・ぅ」

甘い悲鳴と共に必死で背に回されていた細い指先がシーツの上に落ちた。
だらりと弛緩する四肢。その上に被さる、背に無数の傷をこさえた身体、熱い息。ぴったりと重なり合ってお互い消費した
体力を回復させようと目を閉じる。チリリとギャリックの耳元で揺れるピアスの軽やかな金属音が気にかかり、
ゼオンシルトは肩を激しく上下させるほど疲弊した身でぼんやりと瞳を開けた。すぐ真横に汗で前髪を頬に張り付かせた男らしい
横顔が同じく疲弊を露にしている。ゼオンシルトはだるい腕を何とか動かし、ギャリックのピアスに触れた。すると。

「・・・・何だ?」
「あ」

目を閉じた状態でギャリックはゼオンシルトに問う。よく見ればギャリックは疲れているというよりは余韻に浸っているように見えた。
口元が微かに笑んでいる。思いの外睫毛が長く、眉間から皺が取れると何処となく可愛らしい印象を受け、ゼオンシルトも笑う。
ピアスを弄っていた手を直線的な銀髪の方に移し、そっと梳くと行為の最中のように手に指が絡められる。

「・・・・お前、きつくねえか?」
「う、ん・・・ちょっと身体だるいけど・・・大丈夫」
「そっか」

ならいい、と漸く目を開けたギャリックは身体を起こし、体勢が変わった事でまだ内に入ったままのギャリックのそれが
ゼオンシルトを襲った事に軽く詫びつつ、まだひくひくと痙攣している秘所からそれを抜き取る。栓がなくなった事で中から濃い白濁が
次々と流れ出てきた。滑らかな曲線を描く腿を伝う白い線が非常に艶かしい。収まったばかりの欲を再び煽られそうで目を逸らし、
ギャリックは静かにゼオンシルトの肢体にシーツを巻いていく。

「悪かったな、痛かっただろ」
「・・・・ちょっと。でも、あの・・・・・その・・・・・気持ちよかった・・・から」

真っ赤な顔で徐々に搾まっていくか細い声が告げた内容に、ギャリックも頬を染める。何て言っていいか分からず、あーだとか
うーだとか暫く唸っていたがやがて観念したのかボリボリと自身の髪を強く掻き混ぜ、矢継ぎ早に言う。

「あー、その・・・だな。これは、決してその・・・出来心とかじゃねえから・・・・安心しろ」
「うん」
「俺はお前が・・・・好きだから、お前の事をちゃんと守ってやりたい。お前が悲しいなら慰めてやりたい。だから・・・」

辛かったらいつでも俺のところに来い、と今度はしっかり視線を合わせて告げる。そういうところが真面目だなぁなどと暢気に笑う
ゼオンシルトはそれにもこくりと頷いた。もう、分かっているのだ。今までの言動から言ってギャリックは決して嘘はつかない。
ある種の畏怖と安堵を感じさせるほどにこの青年はまっすぐな気性をしているからだ。言いたい事があっても押し黙ってしまう事の
多いゼオンシルトにとって彼のその気性は非常に眩しく、そして好ましい。その思いのままに髪を撫でていた手をもう一度背に回し、
きゅうと抱きつくと散々自分がされたように耳元に唇を寄せ。

「ギャリックがいてくれるなら、大丈夫。どんなに辛くても俺は頑張れる。必ず、生きて貴方のところに帰りたい」
「ああ・・・。クイーンスクリーパーなんぞにやられるんじゃねえぞ」
「うん、大好き」
「・・・・・〜〜〜ッ」

もう何度目になるか分からない告白。それでも真っ赤になるギャリック。顔を押さえて長い溜息を吐くと、さっきゼオンシルトが
弄っていたピアスに手を伸ばし、外す。チリリと軽やかな音。ゼオンシルトはそんなギャリックの突然の行動を不思議そうに目で
追っている。と、そこで外したピアスをギャリックはゼオンシルトの紅眼の前で鈴のように揺らし。

「ギャリック・・・?」
「気に入ったんなら、やる」
「え?」
「・・・・本当はもっと気の利いたもんやりたいんだが、手持ちはこれしかねえし・・・・ま、お守り代わりだと思え」

いらんならいいがと引っ込めようとする手をゼオンシルトは慌てて掴む。

「くれるんでしょ?」
「・・・・・欲しいっつーならやる」
「欲しい」
「・・・・・じゃあ、やる」
「うん。大事にする」

年頃の少女がするように可愛らしく受け取るとゼオンシルトは両手で受け取ったピアスを抱き締める。本当に大事にするつもりらしい。
何だか擽ったい気分になったが、その言葉を真摯に受け止めたギャリックはゼオンシルトの肢体を抱き込み、毛布を掛けると寝る
態勢に入った。どうやらこのまま眠ってしまうつもりらしい。

「ギャリック・・・・?」
「・・・・俺ぁ、昨日寝てねえんだよ。寝かせろ」
「え、何で・・・・?」
「っとにテメーは鈍感だな。もういいからお前も寝ろ。明日は決戦が控えてんだろ」
「う、うん」

腑に落ちないながらも、眠る事が純粋に好きな身としてはギャリックに異を唱えるつもりもないゼオンシルトは言われるままに
双眸を伏せ、間近の規則正しい呼吸に聞き入る。素肌で触れ合う心音は互いに少し速い。けれど離れようとは思わなかった。
この夢のような瞬間から、まだ覚めたくなかったから。夢が終わる前に、夢に落ちる。恐怖も何もかもを溶かしてくれる腕の中で。
目覚めた時の過酷さに耐えられるように、今はただ眠る。


ああ、どうか。
この幸せな腕の中に再び戻って来れますように。
今はもう、死にたいなんて思わないから。


おやすみ、大好きな人。

おはようは、まだ言わないで。


fin



ギャリゼオ、初夜です・・・・(恥)
何かこの二人の裏は妙に恥ずかしいです、照れます。
初夜編で終わりかと見せかけてやっぱりクイーン倒して帰って来るまで
安堵のシリーズ(?)は続けたいと思います。今回いないコリンとかも含めて。
補完を少々してみようかな、と(今更やん)



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