このお話はコチラのリシャール編です。 気付かないで欲しい…。けれど、気が付いて。
「やはり私自身は宵闇が深い時間にならないと表に出ることは叶わないか。……もどかしい、ものだ。」 その人はある事に気が付いた。ある日を境に、彼自身ではない何者かが彼の意識押さえ込み、己の表に出ていることを。 「ふぅ……。無念なことだが、私よりもあやつの方が情報工作の面では上手だ。最早私に残された希望はあの人だけ……。 とつとつと言葉を零す。口に出して言ってしまわねば、下らぬ期待を抱き、肝心な時で酷い失態を犯してしまう。それは彼自身の経験から基づいたモノだった。 ……オスカーは私の元を離れ、あの人の元に協力を求め行ったはずだ。…オスカー、済まない。今一度、お前と私自身が 彼は、少しばかり明るい顔になったかと思えば、すぐに思い詰めた顔となってしまう。なぜなら、今現在の彼の状況は少しも 「きっと、あの人ならば大丈夫だ。全ての元凶を突き止め、必ずや片を付けてくれる。……全てを任せられるだろう。だからこそ、 それは、不思議な確信だった。だが決して違えることは無いと自信を持って言えた。 「そして、オスカーが行ったとなれば、アーネストは私と共に来る、か。最後の時まで、私の傍らに控えているのだろうな。 このような時が来ることに、心の何処かで気が付いていた。恐れていた、いや何処か待っていた様な気もする。 「近々、あの人の手で主様が討たれるであろう。そして、今まで闇夜に潜んでいた、あの者が日向へと出で、全てを手中に まるでそれは予言の様であった。何もかも見通しているかの様な。そして、悟ってしまった者の嘆きだった。 「このことは、胸が切り裂かれる様な思いなど……、皆が、知らなくていい…。皆がこの思いを、判らなくていい…。 誰に聞かせるかでもなく。ただぽつぽつと、自身の身の内から自然に湧き出るものを零すように。口から零れる思いをただ風に、 「涙を流して、欲しいのではない。自分の内の何かが訴えてくる…。後悔が無いとは言えはしないが、 静かな足取りで、自分の寝室へと戻る。再び目覚める時は、リシャールと名を名乗る彼自身の最後であると判っていながら。 ……全ては歩き始めてしまった。出来る事なら見続けたかった。この国を、私の親友達を、新たな国王と成る者を、そしてあの人、苦しき道を歩み続け、まだこの先も歩まねばならない兄上を…。だから、せめてこの思いをこの地に残そう。この思いが皆を
様々な季節が、時が流れた、そんな日。誰も居ない王城の片隅に、人々が幾度となく開く、誰が執筆したかも判らないある書物に
to be continued……? 柊氷片様より 前回頂いた小説のリシャール編です! 本当は書かれる予定がなかったそうですが、私めが 続きあるのかな?と勝手に思い込んでいたので書いて頂きました!(殴) いやいやいや。しかし強請った甲斐がありました。 リシャールさんがカーマイン氏を「あの人」と言ってるのが無性に萌えます(変態) 何だか可愛いじゃありませんか・・・!そして最後に出てくる書物を 書いたのはきっとアーネストなんですよね?(ここで訊くな) そういう友情と敬愛の関係はいいですね。 我侭を聞き入れて下さいまして有難うございました、柊様! |