孤独な英雄に観月を 前編 化け物と。 白い甲冑に覆われた巨体を凝視する幾つもの目が雄弁に告げている。 銀色にぎらぎら光る爪。 黄金の瞳は二対。 時折、燃ゆる炎に煽られて真紅に翳る。 美しいと、思うのは。 ―どうやら、俺だけらしい。 苦笑が漏れる。 違う、モノなのだと。 いい加減、気づくがいいと。 戦いの最中、交わした視線に―、憐れまれた気がした。 「俺を誰だと思ってるんだ」 傲慢な台詞だ。我ながら嫌気がさす。 さすがですねと。 素直に賞賛する金髪の少年王。 さすが救世の騎士、グローランサーだと。 無防備に、ひどく簡単に。 いいのかそんなに俺を信じて。 陽光のような無邪気さに、思わず違うと言いかけた。 泣きたい様な気になった。 らしくない発言だと。 仮面をつけた中、不信に思う。 自分を誇示するでもなく、ただ淡々と。 その中に含まれるものは おそらく、自嘲。 いつか、どこかで聞いた響き。 客室というものは、大概の場合が装飾的で余所余所しい。 いかにもな感じに飾り立てられた―大国として、それなりの水準は越えなければならないということだろう―模造の剣やら額縁やら, そこここに感じ取られたのは、冷たささえ感じる拒絶。 お前の物ではないと。 言われている気がする。 「・・・・・駄目だな」 どうにも、思考が感傷的だ。 上等な部屋あてがってくれたのにはエリオット、感謝するけど。 ”気兼ねなくくつろぐ”気にはなれないようだ。 窓辺から射す、月光に目を細める。 ローランディアより少し白い。 誘われるように、 かりそめの休憩所から抜け出した。 ああ、綺麗だ。 ためらいなく、そう思う。 手を伸ばしてみる。 手に入りはしないけれど。 月光に染め上げられた自分の腕の、我ながら気持ち悪いほど不健康な生っ白さに、溜息をひとつ。 月明かりに、なおさら存在が際立つ。 すい、と。戯れに月に伸びた腕の動きは蟲惑的な優雅さで。 もしそれが己にむけてのものだったとしたら。 ついそんなことを考えて、苦笑した。 「・・・・やあ」 思いもしなかった先客に、少し動揺する。 人の気配には、我ながら敏感な方だとは思っていたけれど、そうでもなかったらしい。不覚だ。 子供じみた仕草を見咎められたようで、小さく肩を竦めた。 まあ、時折通っただけの自分より、はるかにこの国、この城に通じているのが彼なのは考えるでもない。 「こんばんわ」 「・・・・・ああ。」 座っていても長身なのだなと思う。 月光に誘われるように、ついふらふらと庭園を彷徨って行き着いた大木の下、当然のように居た彼の、 もしかして邪魔をしたんじゃないかと慌てた。 「・・・・良い月だ」 低い声の、落ち着いた響きは、結構好きだと思う。 「座ったらどうだ」 一瞬だけ、混乱した。 「あ、いや・・・、いい」 「・・・そうか」 「邪魔するつもりはなかったんだ」 「邪魔?」 「すぐ消えるから」 「・・・・待て」 居心地の悪さを誤魔化すように、くるり背中を向けたところ、僅かに苛立った声に違和感を感じて振り返った。 「座れ」 さすが無敵のインペリアル・ナイト様だ。言葉ひとつとっても有無を言わせない説得力がある。 逡巡はほんの僅か。たいした抵抗感もなく座ったのは、単なる社交辞令にしては感情がこもっていたと感じたからだ。 「邪魔ではない」 「・・・」 「ここにいろ」 それきり、言葉は途絶えた。 見上げる空の先、乳白色の月だけが王者のごとく君臨している。 綺麗だ。 「・・・・・すまん」 「ん?」 「お前の気持ちを考慮せず、つい高圧的な態度を取った」 「いや、俺は別に・・・」 「言い直す。もしお前が不愉快でなければ、ここに居ればいい」 「・・・・ふ、」 「?」 「いや、生真面目だなあと」 端正な顔に、たちまち苦味が走る。 「悪かったな」 初めて見る渋面が、けれどそれにしても板についているので、更に笑えた。 「いや、そういうわけじゃなく・・・・」 「・・・・」 機嫌を損ねただろうか。 眉間に刻まれた皺は、月明かりの下ですらくっきりとした影を落とす。 「不愉快じゃない。」 「・・・・」 「ここにいるよ」 そうかと頷かれて、ああとこたえる。それだけ。 言葉はもうあまり欲しくない。 月が美しくあればいい。 「昼間・・・、」 「うん?」 「謁見の間で。お前は笑ったな」 真意を測りかねて、表情を伺う。少し目を細めた横顔は、ただ静かに月だけを見ていた。 「それがどうかしたか?」 笑うことが。 それほど自分にとって意味あることだと思えない。 けれど、例えば。 僅かに口の端を上げるだけで安心できるのなら。 いくらでも、望むままに。 「俺は誰だと、問うていた」 「あんたも知っているだろう」 英雄だと。 そう名乗ることで救われるのなら。 人形であり続ける事に疑問はない。 「ああ、知っている」 けれど、例えば。 賞賛。 憧憬。 過剰な信頼。 そういったものを、特に知り合いから受けるとき。 逃げ出したい焦燥に駈られる事がある。 お前もかと。 エリオット、お前もそうなのかと。 一瞬、どうしていいのか分からなくなった。 「カーマイン。」 凛、と。 低いわりによく響く声が。 放っておけば際限なく沈んでいく思考を何気なく救い上げて月光の下に戻す。 「カーマイン=フォルスマイヤー。そうだろう?」 ふいに。 鈍く回る思考を押し上げる何か。 ぐずぐずと引き篭もろうとするものに、さっさと目を覚ませと叱り付ける腕。 ―ひどく、危険だ。 小さく笑った。 「違う」 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ こーゆうどーでもいいネタならどんどん浮かびます私。 ええ、綺月様の”俺様発言”から思いついたネタ。 大好きですこーゆーの。書くの楽しいかも。大発見。(迷惑な発見) 月明かりの下。ありがちですがカーマインさんにはやっぱり月だという気がします。 いやそれにしたってUpされて1日おかずまたしてもゴミ送りつけるてどーよ・・・・・。 豚もおだてりゃ木を登る。ご存知ですか。とゆーかこれで合ってますか。 合ってる、合ってないを別問題にして、今回のコレがちょうどそれです。まさにぴったり。 調子こいて、無謀にも前後編なんぞに手を出しました。いいのか。 今度はカーマインさん視点で。突発的に思いついたので課題もそれなりに適当ですが。 ”孤独な英雄に観月を”。 観月ってのは、月見のことです。それくらいわかりますか。そうですよね。 ちょっと(あくまで私が書くにしては)長そうなんで、びびって分けてみたり。 そしたら、おお、なんかそれっぽい。(どれだ。) 小休憩、挟みましょうかねってカンジで。 皆様お疲れでしょう?、なんて。 氷花にしては気を利かせてみました。 ・・・・・それくらいなら永久封印して人目に晒さないようにするくらいの気をまわせってかんじですよねえぇ? すぐさま終わりまで突っ走る気満々ですが。 最後まで持つのか根性なし。 正気に戻らないうちに送信をクリックいたします。 のっぴきならない状況にあえて自分を追い詰めて、何とか最後まで書き上げようとする氷花の生き様を、 とくとご覧ください。(意味不明。) ってゆーか。 氷花真夜枷、21歳。人の好意につけあがる事を覚えました。にやり。 綺月様が挿絵くれるってゆーんだもん、約束聞いたからにはもらうんだもん。 ・・・・って事はだな? これから先、数打ちゃ当たる方式でどんどん駄文を送りつけて、もしかして幸運にも気に入っていただけたら。 またしてもオイシイ展開に・・・・・。にやり。 ああ。人間打算で動くのは罪でしょうか。 綺月様のご迷惑も顧みず、ストレートにゴーイングマイウェイな私。 御免なさいスミマセン許してください怒らないで。 さて、仕上げに入りましょうかね。(←さては深刻に考えていない) ▽ 管理人戯言 前後編ですか。後編が楽しみであります。 綺月の独り言でネタを作って下さるとは・・・ぼやいてみるものやね。じゃあもっとぼやいとこっと♪←いい迷惑だ 孤独な英雄、実はこれもまた好きなんだなー僕は。俺様発言だって綺月は好きサ。格好いいじゃないですか。 同じ主人公でもウェインが言うのと彼が言うのでは重みが違いますもんね。何かを背負っている綺麗なお兄さんって素敵です。 辛くても誰かのために我慢できる人ってやはり強いのです。でもその強さの根底にあるのが弱さや脆さになるわけで その弱さを包んでくれる存在がいて欲しい処。なので綺月はアーさんをその存在に大プッシュ★ ほら、なんかアー主ってアトラス公認っぽいじゃないですか。設定的に。←何を根拠に発売元に迷惑なだけの発言を!? 何かキャラ紹介でも対になるみたいな紹介の仕方だし v部屋割りは隣同士だし vvアーさんはカー君に片恋中ですし vvv ・・・・・・すみません、暴走しました。 って言うか話飛んでましたね。ではまた飛びます。←ええ? 確かにカーマインさんは月って感じですね。神秘的です。綺麗です。麗しいです。 フフフ、シリアスで二人っきり・・・美味しいですね。頑張れアーさん、チャンスだアーさん。 綺月は高圧的な態度を取っちゃう不器用だけど生真面目な君が大好きサ★←アーさん的に全く嬉しくない言葉 もちろん筆者たる氷花様も大好きですよ。ってごめんなさい嬉しくないですね。迷惑ですね。 何やら妙なテンションでごめんなさいですよ。 ですがこんな綺月にこのような素敵SS贈呈して下さって(贈呈させたの間違い)ありがとうございます★ お礼、ちゃんと描きますので v待ってて下さいねー |
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