波乱☆混乱☆大乱闘 〜タイトルセンスがまるでないよ〜 最終話



「アーネストさん、大丈夫なんですか・・・?」

競技が進むごとに憔悴していくアーネストをカーマインは心配そうに見つめる。
それもその筈。自分が出る競技ではオスカーに執拗に嫌がらせを受け、それ以外の競技では暴走する
ジュリア、オスカー、それと稀にリシャールの仲裁に入り、そして何故かその度彼らに八つ当たられているのだから。
どれだけタフなのが自慢でも、疲れない方がおかしい。

大丈夫、と何らかの反応を返したいものの、その気力すら今のアーネストにはなかった。
ただぐったりとした紅い瞳をカーマインへ向けるだけで精一杯で。見かねたカーマインはそっと手をアーネストへ
伸ばそうとした、が。

「危ない、マイ=ロード!!」
「え?!」

ザスッ

アーネストとカーマインの間に一本の剣が刺さっている。それはまるで二人を隔てるように、ぐっさりと机に亀裂を残して。
両者とも何が起きたのかよく分からず、パチパチと瞬きを繰り返している。その間に、剣を投げたと思われる本人が
近寄ってきた。否、近寄る―ではない、むしろ突進してきた。それはもう猪突猛進!とばかりに。
土煙さえ巻き起こしてカーマインに突進してきたのは、今し方競技を終えて本部に戻ってきたらしいインペリアル学園執行部の
紅一点、ジュリアで。そのままの勢いでアーネストの額に伸びる直前のカーマインの手を両手で握り締め。

「マイ=ロード、大丈夫でしたか?!もう少しでライエル菌に冒されるところでしたね」
「「ライエル菌・・・?」」

何だそれは。
よりにもよって細菌呼ばわりか。

言ってやりたい、と思いつつ疲れが勝っているアーネストは鸚鵡返しに聞き返す事しか出来ない。
ぎゅうとジュリアに手を握りこまれているカーマインの方は、実は思いの外ジュリアの力が強くて「痛い」と思いながらも
辛うじて男の意地があるのか引き攣りそうな口元を必死で堪えている。しかし、いつまで経っても手を離して
くれそうもないのでちらと手元を見た。気づいたジュリアは慌てて手を離す。

「す、すみませんマイ=ロード。とんだ粗相を・・・」
「いや、別に・・・・それより、この剣投げたのってもしかして・・・・」
「はい、私です。マイ=ロードをライエルの魔の手から救おうと思って気がついたらシュッと」

投げてました。そう言うジュリアにカーマインとアーネストは背筋の凍る思いだった。もし、彼女の手元が狂っていたら
どうなっていた事だろう。確実に流血惨事は逃れられなかったはずだ。女の嫉妬は怖い。

「ジュ、ジュリアさん、アーネストさんは何もしてないですし、それにこんなものを投げたら危ないですよ」
「はい申し訳ありません、今度からはもっと殺傷能力の低いものにしたいと思います」

そういう問題じゃない。

突っ込んでやりたい、突っ込んでやりたい。そうは思うものの、アーネストの口からは溜息しか出てこない。
何と言うか、もう慣れてしまっているのだ。自分がぞんざいに扱われる事に。まあ、それもカーマインが関わっているのでは
仕方ない、と何処かでそう割り切っているのかもしれない。自分とてカーマインに誰かが近づけば暴走しかねないからだ。
他人の事を言えない以上、口を挟むべきではない。瞳を軽く伏せ、アーネストは中断していた書類に目を通す。
リシャールが打ち出した書類は不備が多いので何度もチェックしなければならない。元は学園一の秀才のはずなのに
何故、こうも彼の立てた企画は杜撰なのか。やはり、やる気の問題なのだろうか。

やる気、といえば今回の勝敗によってカーマインと行く某ネズミ王国へのチケットが懸かっているせいか、
競技中に於いてのみ彼のやる気と集中力は凄かった。普段もあの三分の一でいいからやる気を出してもらいたい。
そんな事を脳裏で考えつつ、アーネストは書類をぺらりと捲る。その間、ジュリアはカーマインからお叱りを受けて
しょげていたり、構ってもらえる嬉しさからにやけていたりと何だかんだで楽しそうだ。
こんなに気苦労をしているのは俺だけか、改めて実感する侘しさにアーネストは更に重い溜息を吐いた。

「なあに、辛気臭い溜息なんて吐いてんのさ」

溜息を吐かせる原因の大多数を占める男に声を掛けられ、白銀の柳眉は歪む。書類を捲る指先が止まった。
くるり、と首だけ動かしアーネストは背後で飄々と笑んでいる執行部員を睨み据えた。

「オスカー、貴様。今日はよくも色々やってくれたな」
「何の事だい?身に覚えがないよ。それにそういう事は『今日』が終わってから言った方がいいよv」
「・・・・・っ」

それは、言葉を返せばまだまだ嫌がらせは終わらない、という事ではないだろうか。気づいたアーネストの顔色は
よくない。それだけ散々な目に遭わされたのだ、今日一日だけで何度も。まず、パンの中身を嫌いな具に入れ替えられ、
玉入れの玉を力いっぱい投げつけられ、落とし穴に嵌められたり、カーマインと接近するだけで槍が降ってきたり、
剣が飛んできたり・・・エトセトラ、エトセトラ。普通の男ならまず身が持たない。

だが、普通ではないからこそインペリアル学園執行部に身を置いているアーネストは眉間に深い縦皺を刻むだけで
怒り狂う、などという事はなかった。額にうっすら青筋は浮かんでいるが。それでも懸命に耐えている。
果たしてそれは性格なのか、それとも意中の相手がすぐ傍で見ているからなのかは定かではない。
けれど限界は間近なようでひくひくと口端が戦慄き始めている。目敏くアーネストの変化を見取ったオスカーは
自分より少し高い位置にある耳元にぼそりと一言。

「おや、いいのかい。すぐ傍でカーマインが見てるけど爆発しちゃっても。怯えられても知らないよ」
「・・・・・・・っ、煩い。大体お前は何で彼に対して馴れ馴れしいんだ」
「それは親睦度の違いじゃないかなぁ。彼だって僕の事名前で呼んでるし敬語も抜きでしょ?」

そう仕向けた事はさらっと省いてオスカーは得意げにアーネストに向かって微笑む。
毒のある笑み。彼の本質を知る者は皆そう言う。微笑んでいながら敵意むき出しなその姿は何と恐ろしいものか。
これで一般生徒には温厚、なんて言われているのだから始末が悪い。

しかし今のアーネストにはそんな事を考える余裕などなかった。実際のところを知らないアーネストはオスカーの
言葉を疑いもなしにそのまま受け止めている。ギリッと悔しげに歯噛みした。それから虫でも払うようにオスカーを
自分から離れさせる。こういう時に、己の口下手さを呪いたくなってしまう。もし、自分にオスカーほどの口の巧さがあれば
もっと何もかもがスムーズにいくだろうに。そんな事を考えてしまう自分が嫌で書類をばさりと机の上に叩きつけて
ジャージを脱ぎシャツ一枚になる。鍛えられた二の腕こそ男らしいが、その内面は酷く繊細で傷つきやすい。
靄の掛かる思考を払拭するかのように目の前の事に集中しようと無理やり気を持っていく。

「次の競技がある。貴様の相手をしてる暇はない」
「ああ、そう。せいぜい頑張ってv君が活躍してる間に僕はカーマインともっと親睦を深めさせてもらおっと♪」
「・・・・・・・・黙れ」
「おおこわっ」

ぎろりと睨みつけられてもオスカーは飄々としたまま肩を竦め、不機嫌な親友の後姿を見送った。
けれどアーネストは知らない。オスカーのそんな態度は余裕から来るものではなく、むしろ逆なのだと。
自分にとって危険な相手だと思うからこそ余裕のあるような態度を取って見せるのだ。

「無自覚フェロモン系っていうのが一番厄介なんだよねえ」
「・・・・それはライエルの事か?」

苦々しげにぼやくオスカーの後ろからふと声がかかる。

「おやジュリア、いたのかい?」
「さっきからいたぞ」

愛しのマイ=ロードと話していたはずのジュリアが自分の背後に立っていたのを僅かに驚きながらオスカーが
問えばジュリアは憮然と返す。聞けばカーマインは用事があって何処かに行ってしまったらしい。
それで機嫌が悪いのかと納得しているオスカーの横でジュリアは顔を顰めながら隣りの男に尋ねる。

「やっぱりお前もライエルが一番だと思うか?」
「アーネストは自覚ないけど見た目だけはいいし、何か偶にフェロモン出てるし、あの性格だからね」
「・・・・認めたくないが、マイ=ロードも奴を一番信頼している感がある」
「ま、大人しく見ているわけがないけど」
「そうだな。それに今回の結果次第では私にもチャンスが・・・」
「今回の結果?」
「・・・・・・・あ」

思わずといった風にジュリアは自分の口に手を当てたがもう遅い。この体育祭の結果が賭けられているのは
オスカーは知らないのだ。にじりとジュリアに詰め寄る。

「ねえ、一体どういう事?」
「い、いやその何でも・・・・・」
「ジュリア、僕を騙せるなんてそんな浅はかな事を考えちゃいないよねぇ・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・ッ〜〜〜」

黒いオーラを纏って問い詰められれば流石に男よりも男らしいと言われるジュリアもたじたじで。
一歩二歩と後ろに下がる。けれど本部の机に背中がぶつかり・・・・追い詰められたジュリアの脇にオスカーが両手を付く。
見事に拘束され、これでは逃げられない。腹を括るしかないかとジュリアが半ば覚悟した時、二人はすっかり失念していた。
今の自分たちの格好が傍目から見たらどのように映るのか。そして今この場に誰がいるのか。

がたん

何かに何かがぶつかる音がする。何だと思いジュリアとオスカーはその態勢のまま首を動かした。
音源に視線を集める。そこには、一度席を外していたものの、用事を済ませて本部に戻ってきたらしいカーマインの姿が。
金と銀の瞳をしきりに瞬かせ、唖然と口を開けながら何か言いたげに二人を見ている。そして段々と白い頬を
朱に染上げると慌てたように踵を返し。

「ご、ごめんなさい!お邪魔しました!!」
「「へ?!」」
「本当に間が悪くてすみません、俺何も見てませんから!!」

見てないって、何が?

だーっと顔を真っ赤にしたまままた何処かに行ってしまったカーマインの背にジュリアとオスカーは同じ事を思う。
しかしふと気がついた。今の自分たちの状態、見ようによってはオスカーがジュリアを押し倒しているように見える。
つまりカーマインはこの二人がデキていると勘違いしてしまったわけで・・・・。

「うっげ、最悪!」
「それはこちらの台詞だ!何でよりにもよってお前なんかと!まだライエルの方が幾らかマシだ」
「僕だって君なんかとよりまだリシャール様と噂される方がマシだよ!」

どうやら本当にそんな噂が学園内で流れているらしい。それはともかく、カーマインにあらぬ勘違いをされてしまった
二人は最早体育祭の結果などどうでもよく、どうやってカーマインの誤解を解くかが最優先事項になった。
うんうんと唸りながら頭を捻る。けれど犬猿の仲の二人ではろくな考えなど浮かんでこない。かといってアーネストや
リシャールに相談したところで力になってくれるわけもなく、それどころか絶対その誤解を利用しようとするに違いなく。

「「どうすればいいんだ〜!」」

仲の悪い二人が珍しく声をハモらせた。



◆◇◇◆



一方その頃。
カーマインとオスカーが仲が良いと思い込んでやきもきしているアーネストはといえば。
競技を終わらせてその際掻いた汗を持参した白いタオルで拭っている。薄い唇からふうと一息吐くその様は
何処か艶掛かり、周りの女生徒が控えめに騒いでいた。当然アーネストの耳にそれは届いているはずなのだが、
興味がないのか、はたまたそれが自分に向けられたものだと気づいていないのか溜息ばかり吐いている。
まるで恋煩いにでも掛かっているような・・・・。まるで?そんなばかな。もうとっくに掛かっている。
恐らくカーマインと初めて出くわせたその瞬間から。

「恋愛なんて馬鹿らしいと思っていたのにな・・・」

なのにこの体たらく。笑うしかない、とアーネストが唇に嘲笑を乗せたその時、どすっと背後に衝撃を受けた。
何ていうかこう、猪かなんかにぶつかられたような・・・結構な衝撃。驚いて振り返れば背中に黒髪が張り付いている。
それが誰か、考えてからまさかなと自身の内で否定しつつ相手の顔を覗き込めば、まさかなと思った相手で
驚きが増す。夢でも見ているんではなかろうかと頬を抓ってみるが、痛い。どうやら夢ではないらしい。
では何故今こんな状態になっているのか。考えても埒が明かずアーネストは周囲にジュリアやオスカーがいないか
確認してから手を伸ばし、黒髪に触れる。

「・・・・・ど、どうしたんだ?」
「じ、実は俺大変なものを見てしまって・・・・」
「大変なもの?とにかく落ち着け。本部に・・・・」
「だ、だめです本部は今ジュリアさんとオスカーが」

オスカーという呼び名にアーネストの眉がピクリと引き攣る。身体の内部で黒い何かが蠢く。
けれどそれを慣れたように押し隠し、落ち着きを失っている細い背中を優しく撫でてやる。撫でられている当人は
心地よいのか僅かに安らいだような表情を浮かべた。それを見て安堵したアーネストは静かに問う。

「ジュリアンとオスカーがどうした?」
「えっと、そのあのお二人がその・・・・お取り込み中・・・みたいで」
「取り込み中・・・?何の事だ・・・・」
「あの・・・・だから・・・・恋人同士の睦事みたいな・・・・・」
「・・・・・何?」

恋人同士?睦事?あの二人が?

聞きたい事はたくさんあったがカーマインが酷く真剣なので堪え、アーネストは思考を巡らせる。
一体何がどうなるとあの犬猿コンビが恋人同士になるのか。恐らく何かを見間違えたか勘違いしているのだろう。
だが、わざわざそれを教えてやるのも癪だし、奴等にそんな義理もない。いつも痛い目に遭わされているのだ。
これはむしろ奴等に復讐するチャンスなんじゃないだろうか。そんな事をアーネストは思う。何も知らないカーマインは
どうしていいのか分からないらしくぎゅうとアーネストにしがみついている。予想もせぬ棚ぼたに口端が緩みそうに
なるのを堪えつつアーネストはどうしたものかと頭を悩ませた。

そこに。

「ジュリアとオスカーがデキているらしいな」

どうやら何処かから今までの遣り取りを聞いていたらしいリシャールが現れる。タイミングを計っていたようだ。
せっかく人が幸せを噛み締めていたのに、とアーネストの緩みかけた口端がへの字に曲がる。
そんな事はお構いなしにリシャールはてくてくとカーマインとアーネストに近づいてきた。

「カーマイン、ここは奴等に気を利かせてやるべきではないか?」
「え?」
「我々が本部に戻っては奴らも存分にイチャつけんだろう。だから二人っきりにさせてやろうではないか」
「会長・・・・・」

しっかり、カーマインの勘違いを利用するんですねと言いたいところをアーネストはぐっと堪える。
口に出してしまえば、誤解が解けてしまう。それは避けねば。日頃の恨みというのは何とも恐ろしい。
ここにオスカー×ジュリア説がでっち上げられた。そしてカーマインはまんまとそれを信じてしまっている。
リシャールの提案に、なんて仲間思いで優しいんだろうなどと考えているくらいだからよっぽどだろう。

ある意味親の顔を見てみたい。その親はと言えば、勝手に自分の息子のあんな姿こんな姿を盗撮しまくり
荒稼ぎしているリビエラからネガを奪い取ろうとソウルフォースを乱れ撃ちしてたり、それを必死に止めようとしている
ブラッドレー学園長の姿があったりするのだが、その事実は封印して置いた方が皆の為だろう。

そうこうしている間にカーマインの華奢な肩にリシャールの腕が回る。多少の身長差があるのは否めないが
紳士的なエスコートで持って彼を何処かに誘う。

「会長?何処へ・・・・」
「何、そういえばまだ昼を食ってなかったから食べに行こうと思ってな。お前も来い」
「・・・・・え?」

カーマインの意思は既にないものとされているらしい。いいのか、と首を捻るアーネストは自分も誘われ一瞬戸惑う。
てっきり置いていかれるものかと思っていたから。しかし呼ばれた理由はすぐに判明する。

「カーマイン、我が校の学食は旨いぞ、楽しみにしていろ」
「え、学食ですか。じゃあ、財布持ってこないと。本部に置きっぱなし・・・」
「なぁーに、心配するなアーネストの奢りだ」
「は?!」

腑に落ちないながらもリシャールとカーマインの後ろを歩いていたアーネストは急に自分に話が及んできて
驚きの声を上げた。彼が自分も呼んだ理由はそういう事だったのか、合点するものの納得が行かない。

「な、何故俺の奢りという事になってるんですか?」
「何故だと?それはな今私も財布を持っていないからだ。
お前はアレだろ、どうせ貴重品はいつも持ち歩いてるんだろう?」
「・・・・・!・・・・・・・・・・・持ってますよ、悪かったですね」
「悪くないぞ、おかげでただ飯が食える」

几帳面な性格が災いしてか、しっかりばっちりアーネストのジャージのポケットには財布がしまわれていた。
その他にもティッシュやハンカチ、絆創膏、胃薬、ソーイングセットなど色々充実している。
ふう、と溜息を吐くアーネストの姿を見て、リシャールの為すがままにされていたカーマインは慌てて振り返り。

「あ、あのやっぱり俺、財布取ってきます」

言うものだから、リシャールの手を避けて本部に戻ろうとするカーマインの腕を今度はアーネストが掴んだ。

「待て。奢ってやるから取りに行く必要はない」
「え、でも・・・・・」
「それとも俺に奢られるのは嫌か?」
「ま、まさかっ・・・・嬉しいです、有難うございます」
「よし、よく言ったアーネスト」

嫌、なんて言えるはずもないと分かっていながらアーネストが問えば、思った通りの言葉をカーマインは返す。
本当に実に素直で健気なものだと内心でアーネストは微笑する。そして奢る発言をしたアーネストにリシャールは
満足げにうんうんと頷く。けれど。

「・・・・言っておきますけど、俺はカーマインの分しか奢る気はありませんからね」
「何だと!?器の小さい男め!!」
「部下に集る上司に言われたくないですね。ほら、カーマイン行くぞ」

ぐいとカーマインの腕を引っ張る。

「え?あ、あのいいんですか?リシャールさん・・・・」
「いいんだ。会長は甘やかすとどんどん我侭になるからな」
「な、誰が我侭だと!絶対、奢らせてやるからな、アーネスト!」
「お断りします。さっさと財布でも取りに行ったらどうですか」
「それこそ断る!ツケてでも食ってやるからな!!」

ぎゃいぎゃいと騒ぎながら三人は校内の学食へと向かう。色気も何もないが楽しそうなのは確かだろう。
本部に未だ取り残されているジュリアやオスカーに比べれば、とても。そうしてアーネスト達は遅めの昼食を楽しみ、
ジュリアたちはカーマインの誤解をどう解くかで頭を悩ませ、リビエラはサンドラとブラッドレーと終わらない
追いかけっこを続け、それぞれが自分の事で精一杯だったため、彼らの頭からすっかり体育祭、延いてはその結果に
懸かった賞品の事など抜け落ちて・・・・・・いつの間にか合同体育祭は幕を下ろしていた。



ちなみに結局、結果は引き分け―――だったらしい。

嗚呼、なんて騒ぎ損。


それから、暫くインペリアル学園内に『オスカーとジュリアは付き合っている』という
噂が流れ、噂を流した者を探し出し、ぼこぼこにする為に二人の奔走が続いていたとか。
波乱を残しつつも、再び両校は平穏な日々に戻りつつあった。



どっとはらい。




back top end


ようやく終止符を打ちました体育祭編です。
四話しかないのにここまでで二年掛かってます(爆)
今後はナイツ陣が教師のネオ設定の方を書いていこうと思います。
旧設定の方は気が向けば更新です(オーイ)


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